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ママドクターインタビュー Vol.1

ママドクターインタビュー Vol.1

今でも感謝している所長からの言葉

 出産や子育てで気になることに、産休や育児休業といった制度がありますが、先生の場合はどうだったのでしょうか。

 「女医向けの制度はなかったので、職員と同じ制度を女医として初めて利用したんです。たとえば育児時間制度として子供が1歳になるまでは1時間早く帰ってよかったので、外来のないときはありがたく使わせてもらって。そういった制度については、コメディカルで育児中の人がいろいろ教えてくれましたね。困ったことがあったら、職場の育児の先輩や保育園のお母さん、先生に聞くのがいちばん。育児にはその地域、会社、病院ならではのルールがあるので、周りに相談すると具体的なアドバイスをもらえました」

 現在は、1日8~10時間程勤務しているという大西先生。お子さんが病気になったときは、他の先生と当番を交代してもらったり、お母さんに来てもらったりして対応しているそうで、出張などのときにはシッターさんにお願いすることもあるそうです。また、仕事中にお子さんが急な発熱をした場合は、保育園に事情を話して、外来が終わってから迎えに行くようにしていたそうですが、1度だけすぐに帰ったことがあったそうです。

 「真ん中の子は食物アレルギーがあって、保育園でミルクにアナフィラキシーショックを起こしてしまったんです。幸い無事だったんですが、保育園からこのような発作がおきる子供はもう預かれないと言われて退園させられました。職場に復帰してるのに預けるところがない。だいぶ悩んで、パートになろうかなとも考えていたんです。そのときに研究所の当時の所長が『預ける保育園がないなら、うちの病院に作ればいい』とおっしゃってくださって。それで『これは辞めちゃいけない』って思いました。あのひと言がなかったら仕事を辞めていたかもしれない。今でもすごく感謝しています」

 その後、研究所近くの託児施設で預かってもらえることになり、仕事を続けられることに。ただ、研究の面では、これまでと同じようにはいかなかったそうです。

 「真ん中の子の食事の世話がひじょうに大変で、上の子も世話ありますし、それに加えて研究で細胞やラットの世話までするのは疲れちゃったんですね。そこで生き物の実験の研究はギブアップしたんです」

 このことは、つわりの次の挫折だったという大西先生。研究所に勤めてるのに研究をしていないことに、さぼっているような罪悪感もあったそうです。

 「3ヵ月ぐらい研究をしていなかったんですけど、やっぱり研究をして何か新しいことを発見することが好きなので、次に何をやるかは考えていました。そんなときに、所長がたまたま『誰も解析をやっていない疫学データがあるからやってみたら?』と話を持ってきてくださったんです。統計処理が主なので、時間や場所を選ばないし、自分の専門である糖尿病にかかわるものでした。やってみたらすごく楽しくて。それまでとはまったく違う畑の研究だったので、はじめは指導者や仲間がいなくて苦労しましたけど、好きだったので続けられました」

 偶然出会った新たな研究テーマ。独学で続けるうちに研究仲間や指導者とも出会えたそうです。その後、先生は勤務先で治験部長のポストに就任することに。

 「前任者が『僕辞めるからよろしく』みたいな感じで、まったく予想外でした。でも、責任のある立場で仕事をやることはいい経験になって、自分の成長にもなるのでよかったと思っています」