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ママドクターインタビュー Vol.3

ママドクターインタビュー Vol.3

出産は清水の舞台から飛び降りるようなものだった

 ご主人の言葉をきっかけに、「誰かの役に立てるまでがんばろう」と決意した三澤先生ですが、状況がすぐに好転するわけではありませんでした。そして、当時の立場では、出産にもなかなか踏み切れないでいたそうです。

「自分で研究を進める実力もポストもない状態で、妊娠、出産すると、研究を継続できなくなるのではないか、一人前になれないのではないかという大きな不安がありました。当時、出産することは、清水の舞台から飛び降りるようなものでした。研究を続けていくためには継続的に論文を出していくことがすごく大事なので、妊娠や出産、育児を経て、継続的に論文が出せるかということも、身近にお手本にするような方もなく、未知の世界で不安だったんです」

 そんななか、周囲の男性は、仕事への影響を気にすることなく、子どもが次々と産まれていく。その状況は、本当に辛かったそうです。
 しかし、辛い日々のなかで、大きな支えとなる出来事があったそうです。先生の論文が、国際臨床神経生理学会での若手を対象とした賞を受賞したのです。

「現在の教授でもある指導教官のおかげですけれども、自分としてもうれしかったですし、がんばるきっかけになりました。エディンバラでの受賞講演は、初めての英語での発表でしたが、ここでも、指導教官が熱心に指導してくださいました。辛かった時期も含め、今までがんばってこられた理由のひとつに、その指導教官のご指導への感謝がありました」

 そして、先生がお子さんを授かったのは、その後、ちょうど助教のポストに就いた時期だったそうです。ずっと子どもが欲しかったという先生。そのため、妊娠期間はとにかく楽しかったそうです。

「つわりはありましたけど、安定期に入ったときに『あ、体が軽いけど、けっこう大変だったんだな』という感じで、とにかく、うれしく楽しい気持ちのほうが勝っていましたね」

 妊娠5ヶ月の頃には、産科の先生に内緒でロンドンのセミナーにも出張したという先生は、出産直前までいろいろな学会に顔を出していたそうで、大きいお腹は学会でも注目されたそうです。

「4週前から産休に入ったんですが、実は、予定日の2週間前にも熊本の学会へ行こうとしたんです。さすがにこのときは、教授から『僕が代わりに行くから!』と止められました(笑)」

 当時を振り返り「もっと働けたなと今ちょっと反省してます(笑)」と語るのとは裏腹に、お腹のなかのお子さんとともに、アクティブに行動していた先生。無事に男の子を出産し、産後8週で復帰することになりますが、そこにはママドクター共通の悩みがあったそうです。