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臨床研修制度の改正により、臨床研修指定病院の削減方向へ

2008年10月31日

 
 平成16年より始まりました新医師臨床研修制度も実施から4年が経過し、今年もまた来年初期研修を行う6年生の臨床研修病院のマッチング参加登録の時期となりました。


 新医師臨床研修制度の開始により、旧来の医局に残り、大学関連の医療機関に派遣され臨床経験を積んでゆく方式から大きな変化が起きています。研修制度開始により、卒後の医学生は自身の希望する臨床研修指定病院を選択し臨床研修を行うことができ、それにより初期研修及び初期研修後に医局を選択する医師も大きく減少し、今さかんに叫ばれている医師不足、医師の偏在化の一番の原因とされております。


 現在は医局に頼らなくても、近年さまざま登場しています、医師向け人材サービスを利用し、自身の望む職場を以前に比べ容易に見つけることが出来るようになり、医師の勤務形態はとても流動的なものとなってきています。


 臨床研修指定病院は卒後の初期研修を担当する病院であり、平成16年の制度開始時点は956病院であったマッチング参加研修指定病院も、年々増加し、昨年のマッチング参加病院は1090病院となっています。病院としては将来勤務する人材を確保するため、研修指定病院となり研修医を囲い込みたいという思惑もあり、多くの病院がマッチング参加します。しかし、参加病院が多くなったことで研修医を獲得できる病院とできない病院とに明確に分かれてきています。
 そんな中、厚生労働省は本年4月に臨床研修制度の改正を行いました。今改正により、2年間以上研修医の受入れのない病院については臨床研修指定を取り消す事を明記しました。また今年度より臨床研修指定病院において、医師法の違反にあたる研修医のアルバイトが発覚した場合、定員の削減を行うという報道もなされており、研修医が集められない病院、研修医の待遇が十分でない病院は指定病院から外されていくこととなります。


 今回、2年間以上研修医の受入れのない病院についての取り消しが明記されましたことに伴い、過去の2年(平成18年、19年)において受入れのない病院について医師臨床研修マッチング協会(
http://www.jrmp.jp/)の公表するマッチング結果資料を基に調べてみました。


<調査結果>
医師臨床研修マッチング協議会が公表する平成18、19年マッチング結果資料より調査。
データの総数は平成19年のマッチング結果を元に算出。


・平成19年マッチ者数がゼロの病院数                 234/1090(全体の約21%)
・2年間(18年、19年)マッチ者数がゼロの病院数  116/1090(全体の約11%)


・都道府県別にみる研修指定病院マッチ率(上位10県、下位10県)

  

 

 

 

 

 

 

 

 


  都道府県別の臨床研修指定病院のマッチ施設数を見ると、やはり東京・大阪・福岡など都市圏については施設数が多いにも関わらずマッチ施設数は多く、受け入れなし施設数も少なくなっています。また地方においても石川、沖縄については全指定病院においてマッチするという結果を残しています。
 その一方、愛媛・島根は全指定病院のうち5割以上受け入れがなく、またこの2県を含めた計8県が4割以上の指定病院での研修医受け入れがゼロとなっており、石川や沖縄といった特別な例はあるものの、全体的に地方病院では研修医獲得の難しさと地方からの多くの人材の流出が起きているという現実が現れている結果となっています。
 今回の改正により特に削減ラインにある研修指定病院とっては、研修内容の整備、研修医の待遇が非常に重要となる一方、一部の地方病院においてはそのような対応が難しく指定病院を取り消されることで、医師の確保がより難しくなり、さらなる都市の大病院へ研修医の集約化やそれによる地方医療のさらなる崩壊が進むのではないかという懸念もあり、今年度の研修医の方々の動向はこれまで以上に注目する必要があります。

(川瀬 貴之)

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